組織の保護の下、神戸に潜入している殺し屋は、彼に首ったけの情婦がありながら、兄を組織の手で殺されて食堂を女手一つで切り盛りするインテリ娘に惚れてしまう。組織に裏切られ、彼は情婦と国外脱出を企てるが、その娘がボスの手下に傷つけられたというデマに惑わされて、単身引き返してボスを射殺し警察に捕らえられ……。エキゾチックな神戸の港のムードと、ジャン・ギャバン主演の「望郷」を下敷きにしたセンチメンタルな物語がうまくはまった。裕次郎の魅力もさることながら、主人公に付きまとう刑事役の大坂志郎、脱出の手引きをするマダムの轟夕起子と脇役陣の充実ぶりも作品を魅力あるものにしている。